【法人税法】ソフトウェアの除却損の取扱いについて

ソフトウェア 除却 法人税

ソフトウェアの除却損の法人税法上の取扱いをまとめました。

本記事で分かること!
  • ソフトウェアの除却について、法人税の取扱いがわかる
  • 無形であるソフトウェアの除却を証明するための具体的な疎明資料がわかる

1. まとめ

結論から先に申し上げますと、ソフトウェアの除却をした場合の法人税のポイントは以下のとおりとなります。

  • ソフトウェアの除却の取扱いが法人税法基本通達7-7-2の2にピンポイントで記載されている
  • 車両などの有形の減価償却資産と比較すると、無形のソフトウェアの場合、除却の証明が難しい
  • ソフトウェアの除却証明につき、社内稟議書が疎明資料として望ましい
  • 実体(利用していないという事実)と形式(社内稟議書で利用しない旨の記載)が一致して、除却処理が税務上認められる

2. ソフトウェアの除却の取扱い

ソフトウェアの除却について、ピンポイントで法人税法基本通達に記載があるようですので、これをもとに解説していこうと思います。

(ソフトウエアの除却)
基通7―7―2の2 ソフトウエアにつき物理的な除却,廃棄,消滅等がない場合であっても,次に掲げるように当該ソフトウエアを今後事業の用に供しないことが明らかな事実があるときは,当該ソフトウエアの帳簿価額(処分見込価額がある場合には,これを控除した残額)を当該事実が生じた日の属する事業年度の損金の額に算入することができる。
(1) 自社利用のソフトウエアについて,そのソフトウエアによるデータ処理の対象となる業務が廃止され,当該ソフトウエアを利用しなくなったことが明らかな場合,又はハードウエアやオペレーテイングシステムの変更等によって他のソフトウエアを利用することになり,従来のソフトウエアを利用しなくなったことが明らかな場合
(2) 複写して販売するための原本となるソフトウエアについて,新製品の出現,バージョンアツプ等により,今後,販売を行わないことが社内りん議書,販売流通業者への通知文書等で明らかな場合

引用元:法人税法基本通達7-7-2の2

まず、「(1)や(2)に記載の事実があるときは、その事実が生じた日の属する事業年度の損金の額に算入することができる」と記載がありますので、(1)や(2)に記載の事実が生じているかどうかを、確認する必要がございます。

(1)は自社利用のソフトウェアで、(2)は販売用のソフトウェアですので、それぞれにあてはめて検討する必要がございますが、(2)は証票の記載がある一方で、(1)は証票の記載がないため、こちらをメインに解説致します。

早速ですが、ソフトウェアは無形の固定資産であるため、車両等の有形の固定資産と比較して、外形的に除却を証明するのが難しいです。

例えば、車両であれば、廃車証明書や廃車届出書等が除却や廃棄を証明する書類として、税務上除却損が損金として認められる根拠となります。

しかし、ソフトウェアは、物理的に除却が生ずる場合は問題ないですが、一般的には、上記のような除却を証明する書類はございません。

この場合、どのような書類をもって、自社利用のソフトウェアの除却を証明するのでしょうか?

そこで、法人税法基本通達7-7-2の2を見ると、「利用しなくなったことが明らかな場合」とあるだけで、具体的な証票の記載はございません。

ここからは推測となりますが、利用しないことが客観的に明らかとなる疎明資料(例えば、利用廃止の事実を記載している社内稟議書 等)を保存しておき、十分な説明ができるように準備しておく必要があろうかと存じます。

ただし、社内稟議書に利用しない旨が記載されていても、実際に利用している場合には、当然に除却処理が認められませんので、実体(利用していないという事実)と形式(社内稟議書で利用しない旨の記載)が一致して、除却処理が税務上認められるものと考えられます。

なお、疎明資料の話ではございませんが、仮に除却の事実が前期に生じた場合は、当期に除却損の損金算入が認められないことになりますので、留意が必要となります。(つまり、事実が生じたタイミングでしっかり落とす必要がございます。)

以上、となります。
本記事が皆様にとって有益であれば何よりでございます。

ご拝読ありがとうございました。

※本記事の内容は、公開時(上記をご確認ください)の法令等に基づくものですので、ご留意ください。

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