【源泉徴収】海外のカメラマンへ支払う写真撮影料

法人・フリーランス

海外へのカメラマン(非居住者)に対して支払う写真撮影料(写真を提供してもらうことによる支払い。以下同様)に関して、源泉徴収の取扱いをまとめてみました。

本記事で分かること!
  • 海外のカメラマンへの支払いである写真撮影料の源泉徴収の仕組みがわかる
  • その他非居住者への支払いにかかる源泉徴収の考え方のヒントになる


1. まとめ

結論から先に申し上げますと、海外へのカメラマン(非居住者)に対して支払う写真撮影料の源泉徴収のポイントは以下のとおりとなります。

  • ①国内法、②租税条約、の順で整理する必要がある
  • 写真が著作権法上の著作物に該当し、日本国内法上、20.42%で源泉徴収する必要がある
  • 租税条約上、軽減又は減免される可能性がある(日米租税条約の場合、0%)

2. 非居住者への源泉徴収の税務上の考え方

国内のカメラマンの支払いであれば簡単だけど、非居住者への支払いとなると難しいし、どう整理していいか分からない。等の疑問がございましたら、本記事をご参考にして頂けますと幸いです。

非居住者への支払いは、まずは日本国内法(所得税法、所得税法施行令等)を確認する必要がございます。
国内法で源泉徴収自体が不要であれば、租税条約を確認する必要がございませんので、まずは国内法を確認致します。

次に、国内法で源泉徴収が必要そうであれば、非居住者の所在する国と日本国との間の租税条約で軽減又は減免されている可能性があるので、租税条約を確認する必要がございます。

結論としては、①国内法の確認、②租税条約の確認、の順番で確認することになります。(国内の方への支払いであれば、国内法だけの確認で済むので、非居住者への支払いとなると手間が増えてしまいますね。。)

なお、相手国の国内法(例えば、アメリカ居住の方(個人)への支払いであれば、アメリカの法律)は、日本から支払う以上、確認する必要はございませんので、ご留意ください。

3. 国内法の取扱い

海外のカメラマン(非居住者。ここでは外国法人の取扱いについて言及しておりませんので、ご留意ください。)に対して支払う写真撮影料を整理するために、まず非居住者への支払いが日本国内法でどのような取扱いになっているか確認する必要がございます。

そこで、所得税法第212条第1項(以下ご参照)を確認してみると、「非居住者に対する支払い」で「国内において」「第百六十一条第一項第四号から第十六号まで(国内源泉所得)に掲げる国内源泉所得」の「支払をする者」は、支払の際に源泉徴収をしなければならないと、記載されております。

まず、今回海外に所在するカメラマンへの支払いとなりますよね。
次に、写真撮影料が、第百六十一条第一項第四号から第十六号までの国内源泉所得(以下ご参照)になるかどうかについてですが、色々と列挙されているものの、例えば、人的役務の提供、利子や著作権の使用料等が列挙されておりますね。
写真撮影料に該当しそうなのが、所得税法第161条第1項第11号ロ(著作権の使用料)となろうかと思いますが、、さらに、写真料の支払いが「著作権の使用料」に該当するか確認する必要がございます。

そして、所得税法基本通達161-35(以下ご参照)を確認してみると、「同号ロの著作権の使用料とは、著作物(著作権法第2条第1項第1号((定義))に規定する著作物をいう。以下この項において同じ。)の・・・」と記載があり、著作権法上の著作物に該当するものに係る使用料に該当するかを、さらに確認する必要がございます。

すると、著作権法第2条(以下ご参照)には、「著作物 思想又は感情を創作的に表現したもの」と記載されており、著作権法第10条(以下ご参照)には、「写真の著作物」と記載されており、写真撮影料がこの定義に該当するかを検討する必要がございます。
一般的に、写真が著作物とされるのは、被写体の選択、絞り、シャッターチャンス等写真を撮った方の思想や感情が表現されると考えられるからであり、写真撮影料は著作権法上の著作物に該当するものとし、所得税法第161条第1項第11号ロに該当するものと考えられます。
また、源泉税率は20.42%となります。

なお、「気象衛星が撮影した台風の写真」については、機械で撮影したもので人間の手による「創作性」が入り込む余地がないため、「著作物」にあたらないようです。そのため、単に写真が著作物に該当するというわけではなく、あくまでも、当該写真に「創作性」があるものかどうかを確認する点留意が必要となります。

所得税法第212条第1項:
非居住者に対し国内において第百六十一条第一項第四号から第十六号まで(国内源泉所得)に掲げる国内源泉所得(政令で定めるものを除く。)の支払をする者又は外国法人に対し国内において同項第四号から第十一号まで若しくは第十三号から第十六号までに掲げる国内源泉所得(第百八十条第一項(恒久的施設を有する外国法人の受ける国内源泉所得に係る課税の特例)又は第百八十条の二第一項若しくは第二項(信託財産に係る利子等の課税の特例)の規定に該当するもの及び政令で定めるものを除く。)の支払をする者は、その支払の際、これらの国内源泉所得について所得税を徴収し、その徴収の日の属する月の翌月十日までに、これを国に納付しなければならない。

所得税法第213条第1項:
前条第一項の規定により徴収すべき所得税の額は、次の各号の区分に応じ当該各号に定める金額とする。
一 前条第一項に規定する国内源泉所得(次号及び第三号に掲げるものを除く。)その金額(次に掲げる国内源泉所得については、それぞれ次に定める金額)に百分の二十の税率を乗じて計算した金額
イ 第百六十一条第一項第十二号ロ(国内源泉所得)に掲げる年金その支払われる年金の額から五万円にその支払われる年金の額に係る月数を乗じて計算した金額を控除した残額
ロ 第百六十一条第一項第十三号に掲げる賞金その金額(金銭以外のもので支払われる場合には、その支払の時における価額として政令で定めるところにより計算した金額)から五十万円を控除した残額
ハ 第百六十一条第一項第十四号に掲げる年金同号に規定する契約に基づいて支払われる年金の額から当該契約に基づいて払い込まれた保険料又は掛金の額のうちその支払われる年金の額に対応するものとして政令で定めるところにより計算した金額を控除した残額
二 第百六十一条第一項第五号に掲げる国内源泉所得その金額に百分の十の税率を乗じて計算した金額
三 第百六十一条第一項第八号及び第十五号に掲げる国内源泉所得その金額に百分の十五の税率を乗じて計算した金額

所得税法第161条第1項:
この編において「国内源泉所得」とは、次に掲げるものをいう。
一 非居住者が恒久的施設を通じて事業を行う場合において、当該恒久的施設が当該非居住者から独立して事業を行う事業者であるとしたならば、当該恒久的施設が果たす機能、当該恒久的施設において使用する資産、当該恒久的施設と当該非居住者の事業場等(当該非居住者の事業に係る事業場その他これに準ずるものとして政令で定めるものであつて当該恒久的施設以外のものをいう。次項及び次条第二項において同じ。)との間の内部取引その他の状況を勘案して、当該恒久的施設に帰せられるべき所得(当該恒久的施設の譲渡により生ずる所得を含む。)
二 国内にある資産の運用又は保有により生ずる所得(第八号から第十六号までに該当するものを除く。)
三 国内にある資産の譲渡により生ずる所得として政令で定めるもの
四 民法第六百六十七条第一項(組合契約)に規定する組合契約(これに類するものとして政令で定める契約を含む。以下この号において同じ。)に基づいて恒久的施設を通じて行う事業から生ずる利益で当該組合契約に基づいて配分を受けるもののうち政令で定めるもの
五 国内にある土地若しくは土地の上に存する権利又は建物及びその附属設備若しくは構築物の譲渡による対価(政令で定めるものを除く。)
六 国内において人的役務の提供を主たる内容とする事業で政令で定めるものを行う者が受ける当該人的役務の提供に係る対価
七 国内にある不動産、国内にある不動産の上に存する権利若しくは採石法(昭和二十五年法律第二百九十一号)の規定による採石権の貸付け(地上権又は採石権の設定その他他人に不動産、不動産の上に存する権利又は採石権を使用させる一切の行為を含む。)、鉱業法(昭和二十五年法律第二百八十九号)の規定による租鉱権の設定又は居住者若しくは内国法人に対する船舶若しくは航空機の貸付けによる対価
八 第二十三条第一項(利子所得)に規定する利子等のうち次に掲げるもの
イ 日本国の国債若しくは地方債又は内国法人の発行する債券の利子
ロ 外国法人の発行する債券の利子のうち当該外国法人の恒久的施設を通じて行う事業に係るもの
ハ 国内にある営業所、事務所その他これらに準ずるもの(以下この編において「営業所」という。)に預け入れられた預貯金の利子
ニ 国内にある営業所に信託された合同運用信託、公社債投資信託又は公募公社債等運用投資信託の収益の分配
九 第二十四条第一項(配当所得)に規定する配当等のうち次に掲げるもの
イ 内国法人から受ける第二十四条第一項に規定する剰余金の配当、利益の配当、剰余金の分配、金銭の分配又は基金利息
ロ 国内にある営業所に信託された投資信託(公社債投資信託及び公募公社債等運用投資信託を除く。)又は特定受益証券発行信託の収益の分配
十 国内において業務を行う者に対する貸付金(これに準ずるものを含む。)で当該業務に係るものの利子(政令で定める利子を除き、債券の買戻又は売戻条件付売買取引として政令で定めるものから生ずる差益として政令で定めるものを含む。)
十一 国内において業務を行う者から受ける次に掲げる使用料又は対価で当該業務に係るもの
イ 工業所有権その他の技術に関する権利、特別の技術による生産方式若しくはこれらに準ずるものの使用料又はその譲渡による対価
ロ 著作権(出版権及び著作隣接権その他これに準ずるものを含む。)の使用料又はその譲渡による対価

ハ 機械、装置その他政令で定める用具の使用料
十二 次に掲げる給与、報酬又は年金
イ 俸給、給料、賃金、歳費、賞与又はこれらの性質を有する給与その他人的役務の提供に対する報酬のうち、国内において行う勤務その他の人的役務の提供(内国法人の役員として国外において行う勤務その他の政令で定める人的役務の提供を含む。)に基因するもの
ロ 第三十五条第三項(公的年金等の定義)に規定する公的年金等(政令で定めるものを除く。)
ハ 第三十条第一項(退職所得)に規定する退職手当等のうちその支払を受ける者が居住者であつた期間に行つた勤務その他の人的役務の提供(内国法人の役員として非居住者であつた期間に行つた勤務その他の政令で定める人的役務の提供を含む。)に基因するもの
十三 国内において行う事業の広告宣伝のための賞金として政令で定めるもの
十四 国内にある営業所又は国内において契約の締結の代理をする者を通じて締結した保険業法第二条第三項(定義)に規定する生命保険会社又は同条第四項に規定する損害保険会社の締結する保険契約その他の年金に係る契約で政令で定めるものに基づいて受ける年金(第二百九条第二号(源泉徴収を要しない年金)に掲げる年金に該当するものを除く。)で第十二号ロに該当するもの以外のもの(年金の支払の開始の日以後に当該年金に係る契約に基づき分配を受ける剰余金又は割戻しを受ける割戻金及び当該契約に基づき年金に代えて支給される一時金を含む。)
十五 次に掲げる給付補塡金、利息、利益又は差益
イ 第百七十四条第三号(内国法人に係る所得税の課税標準)に掲げる給付補塡金のうち国内にある営業所が受け入れた定期積金に係るもの
ロ 第百七十四条第四号に掲げる給付補塡金のうち国内にある営業所が受け入れた同号に規定する掛金に係るもの
ハ 第百七十四条第五号に掲げる利息のうち国内にある営業所を通じて締結された同号に規定する契約に係るもの
ニ 第百七十四条第六号に掲げる利益のうち国内にある営業所を通じて締結された同号に規定する契約に係るもの
ホ 第百七十四条第七号に掲げる差益のうち国内にある営業所が受け入れた預貯金に係るもの
ヘ 第百七十四条第八号に掲げる差益のうち国内にある営業所又は国内において契約の締結の代理をする者を通じて締結された同号に規定する契約に係るもの
十六 国内において事業を行う者に対する出資につき、匿名組合契約(これに準ずる契約として政令で定めるものを含む。)に基づいて受ける利益の分配
十七 前各号に掲げるもののほかその源泉が国内にある所得として政令で定めるもの

所得税法基本通達161-35:
法第161条第1項第11号イの工業所有権等の使用料とは、工業所有権等の実施、使用、採用、提供若しくは伝授又は工業所有権等に係る実施権若しくは使用権の設定、許諾若しくはその譲渡の承諾につき支払を受ける対価の一切をいい、同号ロの著作権の使用料とは、著作物(著作権法第2条第1項第1号((定義))に規定する著作物をいう。以下この項において同じ。)の複製、上演、演奏、放送、展示、上映、翻訳、編曲、脚色、映画化その他著作物の利用又は出版権の設定につき支払を受ける対価の一切をいうのであるから、これらの使用料には、契約を締結するに当たって支払を受けるいわゆる頭金、権利金等のほか、これらのものを提供し、又は伝授するために要する費用に充てるものとして支払を受けるものも含まれることに留意する(平28課2-4、課法11-8、課審5-5改正)。

著作権法第2条:
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。
二 著作者 著作物を創作する者をいう。

著作権法第10条:
この法律にいう著作物を例示すると、おおむね次のとおりである。
一 小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物
二 音楽の著作物
三 舞踊又は無言劇の著作物
四 絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物
五 建築の著作物
六 地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物
七 映画の著作物
八 写真の著作物
九 プログラムの著作物
2 事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道は、前項第一号に掲げる著作物に該当しない。
3 第一項第九号に掲げる著作物に対するこの法律による保護は、その著作物を作成するために用いるプログラム言語、規約及び解法に及ばない。この場合において、これらの用語の意義は、次の各号に定めるところによる。
一 プログラム言語 プログラムを表現する手段としての文字その他の記号及びその体系をいう。
二 規約 特定のプログラムにおける前号のプログラム言語の用法についての特別の約束をいう。
三 解法 プログラムにおける電子計算機に対する指令の組合せの方法をいう。


4. 租税条約の取扱い

上記のとおり、非居住者に対して写真撮影料を支払いをする者は、国内法で20.42%の源泉徴収をしなければならないと考えられますが、租税条約で軽減又は減免されているケースもございますので、租税条約まで確認する必要がございます。

例えば、日米租税条約(日本とアメリカとの租税条約。以下ご参照)を確認してみると、使用料の条項に、使用料の定義として「著作物の著作権・・の対価として、・・・受領されるすべての種類の支払金等をいう」と記載があり、租税条約に記載の「著作権」は国内法と同義と考えられますので、写真撮影料の支払いは使用料の条項に該当することになろうかと考えられます。
また、日米租税条約では、使用料に該当すると、日本国には課税権がない(アメリカに課税権がある)ことになりますので、源泉税率は0%となり、一定の手続き(本記事では割愛しております。)をすれば、源泉徴収が不要となります。

なお、今回は日米租税条約を確認しましたが、相手国との租税条約によって、定義や規定が違うこともあろうかと思いますので、非居住者へ支払う際は、相手国を確認する必要がございます。

日米租税条約第12条(使用料):
1 一方の締約国内において生じ、他方の締約国の居住者が受益者である使用料に対しては、当該他方の締約国においてのみ租税を課することができる。
2 この条において、「使用料」とは、文学上、芸術上若しくは学術上の著作物(映画フィルム及びラジオ放送用又はテレビジョン放送用のフィルム又はテープを含む。)の著作権、特許権、商標権、意匠、模型、図面、秘密方式若しくは秘密工程の使用若しくは使用の権利の対価として、又は産業上、商業上若しくは学術上の経験に関する情報の対価として受領されるすべての種類の支払金等をいう。


以上、となります。

非居住者への支払いは、迷うことがあろうかと思いますが、本記事が皆様にとって有益であれば何よりでございます。

なお、源泉徴収に係る税務の取扱いが網羅的に記載されている本が図解シリーズとなりますので、以下リンクをご参考ください。

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ご拝読ありがとうございました。

※本記事の内容は、公開時(上記をご確認ください)の法令等に基づくものですので、ご留意ください。

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